無意識の優しさ

ところで。

先程のメールってのは、端的に言うとですね、ずいぶん前にネットで出会ったとある方が居るんです。
私はかつて個人ホームページを運営していた時期があるんですけど、そこにひょっこりときて下さったんです。
私のホームページって、そもそもが別の場所からの派生形の一つだったと言えるものでしたから、来てくださる方の大半がそこを通じて縁のあった方に
よって構成されていました。そんな中で、珍しい新規での方だったんですよ。
でまあね、彼女と話をした中で私が鮮明に覚えているのが「missing」という小説の話。
どんな内容だったかは覚えてません。たぶん、たまたま同じ小説を読んでいて、話が弾んだだけなんだと思うんですよ。
その後、私はHP閉鎖するような形に傾きましたし、彼女は彼女で多方面に交流を広げていきましたから、私の中での彼女の印象が、
そのまま「missing」だったんです。

先日、自宅をリフォームしました。その時、本棚を整理していて見つけたmissing。しかし、何故か一巻と二巻が無くなっていたんです。いくら探しても見つからないんです。不思議で仕方なかったんです。
そんな最中、とある知人の方が、彼女と連絡がついたなんて話をして下さいました。この事が気にかかっていた私は、思わずこんな馬鹿な質問をしてしまいました。
「だったら、彼女に、missingの1巻と2巻が見当たらないんだけど、何でなんだろうと私が聞いていると伝えてくれ」と。

こんな馬鹿な質問ないですよね。私が勝手に無くしたのが関の山です。そんな他人の事情を尋ねられた所で、答えようがありませんよね。
私なら、せいぜい「知るかよ」くらいにしか答えられません。

ですから、勿論冗談のつもりでした。ところが、その知人、実際にメールで聞いてしまったというんですよ。
正直ショックでした。
そんな話をいきなりされて、相手がどう思うか考えると…。
第一、私のことなんかほとんど頭に無いかも知れません。覚えてないかもしれないんですよ。何年前かわからないんだから。
しかも、いきなりmissingって。私とその小説の話をしたことなんて、もっと忘却の彼方でしょう。
加えて、そんなお馬鹿な質問です。訳がわかりませんよね。「無くしたんじゃないの?」程度で、十分優しさが感じられる回答です。
しかも、流石にこの用事だけでメールしているはずがありませんから、「触れられない」可能性も極めて高いはずです。

でもね。何も上記のような事を、暗い気分で考えていたわけじゃありません。当たり前のことだからです。
時が過ぎれば忘れて当たり前なんです。私だって当時のことなんてそうそうろくに覚えていません。
だから、上記のような事を考えたのは、その質問が実際に届いたと知った直後だけ。
だから、結果何かが起こらないことも、起こることさえ、何一つ期待していなかったんです。
昔の知人が元気にしていた。それだけで凄く嬉しいことなんだから。


ところが。先ほど未明、その知人からメールが届いていました。気づいたのは3時くらい。なんだろ、とらドラの録画みて寝るところなのに…。

「返事が来たよ」

…えっ?

曰く。

「アレ(missing)は、神隠しの物語…。神隠しは、その妖怪本人が犠牲者を連れ去る現象なので…一巻が二巻をさらって、神隠しになったのかと(笑)何、そのうち思わぬ場所からでてきますよ」(一部略)


……凄く救われた気がしました。

何が?って思う人も多いことでしょう。別に私の気持ちを誰かにわかれなんてあほな事は言いません。私だって他人の気持ちなんてわかりゃしません。
それは即ち、このような返事をしてくれた彼女が、どのような気持ちであったか、なんていうことは私にはわからないよ、という事もある訳です。
でもね。結果として私は救われた。それが事実です。

何がなんだから、というのは野暮だから書きません。書いて理解されるかも疑問です。でも、私はすごく救われた。


以前、別の女性に、こんな事を言ったことがある。
「貴方の無意識の優しさに、何度救われたか分からない」と。

多くの人は、他人に優しくしたいと思う。何か困っていれば、助けてあげたいと思う。しかし、そう思ったところで、実際にそうできるかというと、それは全くの別問題です。
気を遣った事が結果相手を困らせたり、フォローしたつもりの何気ない一言が、結果相手を傷つけたり…。

「人に優しく」等といいますが、そんなことは簡単です。その分、その結果相手を救えるか、相手の力になれるかというのは、非常に難しいことです。

その彼女は、私がネット上の人間関係に悩んでいた時に、話を聞いてくれました。ただ聞いて、適当に自分の思った事を言っていた。それだけだったと思います。
彼女は、性格が男っぽくてサバサバしていました。別に、私を気遣って話を聞いてくれた訳でもありませんでした。なのに、私は本当に彼女の言葉に助けられた。私を救おう、助けよう、なんていう気持ちでは無かったはずなのに。
その事への感謝を述べても、当人は当惑しているだけでした。「そんなたいそうなことしてないよ」と。

この場合の彼女の気持ちも繰り返しますが私にはわかりません。それでも一ついえるのは、結果として、私と、私のしている話に対して、真摯に向き合ってくれたこと、です。
本人の意思がどうであれ、仮に的外れだったとしても、私の話をきちんと聞いてくれて、きちんと答えを返してくれた。その事に、私は何か報われたような気がしたんです。

今回の事も、きっとそうなんでしょう。相手の気持ちなんてわからない。わからないけれど、私という存在と、私のしたあまりに意味のない質問に対して、彼女なりに真摯に向き合ってくれた。そう思えました。それが嬉しかったんでしょうね。
勿論、適当にユーモアたっぷりに返しただけかも知れません。それでも、帰ってきたのが「彼女だからこそ」という答えだったのは、揺るがない事実なのですから。


うん、なんか文学的で素敵♪(えー)
どうしてもオチつけないと駄目な体質なんで、すいませんでした。


あ、久々の更新ですが、いろいろ形にできそうなこと考えているので、温かい目で見守って下さい。
当ブログの管理人は、ニコニコ動画を愛する皆さんの味方です(え)