初恋限定。第9話「その思い出には満開の」


…まいった。びっくりした。


はっきり言いますが、私はここしばらく、観ていてこんなに鳥肌がたったアニメは記憶にありません。


勿論、色々ありましたよ。アニメに限らず、創作物で感動したりなんなりはたくさんありました。

滅茶苦茶笑えた作品、滅茶苦茶泣けた作品、滅茶苦茶感動した作品、たくさんあります。


ただ、観ていて全身にぶわっと鳥肌がたった。こんなのはここ数年記憶にありません。


私は、自分の趣味に創作があったりもした関係で、観ていて、「自分だったらこうするな〜」なんて、どうしても考えてしまう癖があります。

こういうのは、別に私に限った話じゃないと思います。

それで、そういった前提で、自分の想像、予想を良い意味で裏切られたり、超えられたりするとやはり物凄く感動するんですよ。




ところが。今回の話は、内容的には何一つ裏切りがありません。極めてオーソドックスなんです、何もかもが。

そういうたぐいのものを「イイハナシダナー…」と観ている事は数あれど、これで観ていて全身に鳥肌が立つなんて…。


わかりきってるんですよ、何もかも。この後何が起こってどうなるのか。すべて想像通りなんです。それなのにこれほど心を打たれるとは、なんというか、クオリティの面で格が違うのでは、としか思えません。
今日の安田記念ウオッカの走りのようなものです。


本当に素晴らしかった。神とかいうまあわれわれ御用達の表現では到底足りません。むしろ、一番的確なのは、最初に書いたとおり「驚いた」という言葉です。



千倉ちゃんというキャラは、はっきり言って全く目立たないキャラクターでした。断言できたのは可愛いということだけ(笑)で、性格的にも、周囲のキャラがあまりに濃いので特徴もありませんし、そもそも今までスポットライトが当たった話が何一つないので、全く人物像が見えてきませんでした。


最初の方の曽我部とのシーンというのは、一見、曽我部頑張れよ〜(ニヤニヤ)的なシーンにしか見えませんが、何気にあのシーンが、千倉ちゃんてどんな子なの?という点に関して非常に重要な役割を担っているんですよね。

これがないと、恐らく蓮城先輩との対面後の彼女の心理描写、行動に違和感が生じているのではないかな〜…と思うんですよ。


ちょっとしゃべっただけじゃん、って言われそうなんですが、それでも、曽我部に対してどういう態度をとったか、という点で明確に個性が出ています。

例えば別れた直後

「…変なやつ…」
「…な、何だったんだろう、一体?」
「らんらんらんらーん♪(曽我部の事が頭にすらない)」
「曽我部君って、やっぱり面白い…」


上記の4例のうちどういう台詞を言うかによって、キャラクター像が全く異なります。このうち、一番下以外の台詞を言う人が、連城先輩と会った時ああいう反応をしますか?という事です。

まあでも、その重要性をさしおいて、千倉ちゃんかわいすぎだろJK…っていう感想が先に来て当然ですけどね(爆)…でも、終わってみればこれも物語において重要な要素になるのですからお見事です。


先輩と会ってからは後はまあ多くの人が想像した通りに事が運んだと思います。しばらく幸せな時を過ごすこと。彼の卒業を期に二度と会えなくなること。

個人的には千倉ちゃんを抱きしめた後、照れて千倉ちゃんが去って行った後に、もう一度「ありがとう」と呟かせる方が好みですけどね(笑)まあそれは、しつこいといえばしつこいので完全に好みの問題ですが。


そこからは、ありふれた内容なんだけれど、本当に丁寧に作ってあったと思います。音楽も文句なし。なんというか、わかりやすい伏線を、丁寧において、丁寧に消化していましたよね。

蓮城先輩がどうして今更中学に来たのか、という理由にも全く不自然さがないんですよね。そして、千倉ちゃんと出会った事が、彼にとってどれだけ素晴らしいことであったのかも。
何故最初、あれほどまでに千倉ちゃんの笑顔を強調して描いていたのか、その理由がここでわかります。

フィクションにこんなこと言うのもアレなんですが、彼と千倉ちゃんが出会ったのは完全に偶然のはずです。でも、彼はそこで千倉ちゃんと出会わねばならなかった。千倉ちゃんでなければいけなかった。人が人と出会う事の尊さ、その妙を丁寧に描いていますよね。

「絵は残せるだろ?……過去に出会った大切な人の笑顔も」

という台詞から、最後に彼女の絵を残していくのなんて誰でも想像つく訳ですが、わかっているのにあれだけ感動したのは演出のなせる業なのかな…。

音楽とか、走馬灯系演出はまあ鉄板なのでズルい気もしますが(笑)

後、曽我部は結局素晴らしい咬ませ犬でしたね(笑)頑張ってほしいんだけど。




私は、昔学園物の小説を、ちょっと特殊な形でネット上に連載していた経験があります。
志半ばで(半ばどころかだいぶ序盤で)頓挫してしまっている訳ですが、完全にそれを形にすることを諦めた訳ではなく、水面下でちょこちょこ続けていたんですよね。

正直、そこで私の目指していた方向性というか、描きたかったイメージは、この初恋限定。のイメージに非常に近いというか、私の理想を超えたような形でこのアニメって描かれているんですよね。


だから、初恋限定。を観ていると、小説書きたくて書きたくてしかたなくなってしまいます。ああ、やっぱりいいな、と思うから。


夏にでも本腰入れてみようかな…。



でも、初恋限定。は、正直想像をはるかに超えたクオリティだと思うんですよ。今回に限ったことではなく。

初恋限定。のアニメに関しては、私はかなり楽しみにはしていました。だからこそ、普段見ないBS11枠なのにわざわざ観ている訳です。
いちご100%も結構好きでしたし、原作に関しても部分的に読んでいましたから。河下先生の絵も好きだったし。

ただ、その原作を読んだ時に、たとえばいちご100%と比較してそこまで面白かったかというと、決してそうではなかったんです。

実際、初恋限定。の漫画版は、打ち切りのような形で連載が終わっていたはずなんです。

それがこの面白さ。本当に上手くアニメ化したなーと心から思います。スタッフが丁寧に丁寧にやっているんでしょうね…。

随所が丁寧なんですよね。

今話題のけいおん!も相当面白いし私も大好きなんですが、今期一番を挙げろと言われれば、私は初恋限定。の方を推したいです。



キャラクターの好みに関しては、最近豊崎愛生さんに夢中の私としては(笑)まあ今宵ちゃんな訳ですが。次に慧、千倉ちゃんと来て、その他(をい)って感じだったんですが、今日ので千倉ちゃん2位に上がったかもしれません。


声優どうこうでいえば、藤村歩さんって結構演技上手いと思うんですよね、私。狂乱家族日記の狂華様が有名でしょうが、その随分前から、脇役で滅茶苦茶出ていた人なんですよね。

脇役が上手い人って貴重だよな〜と、思っていたんですよね、ずっと。逆に、脇役でこそと思っていたので、狂華様はびっくりしましたけどw


でも、良く考えると、けいおん!の軽音楽部メンバー役の声優が3人も出てるのか初恋限定って。今宵ちゃんが豊崎愛生、土橋が寿美菜子、慧の姉が佐藤聡美ですもんね。やっぱ時代はけいおん!ですかそうですか。